『何のために野球をするの?』
プロ野球選手になるため、甲子園に出たいから、ただ野球が好きだから。いろいろな答えがあると思う。でも、一番根底にあるのは、野球は人生の一部であり、人として成長するためのものだということ。野球はあくまでも「人間教育の手段のひとつ」にすぎない。大きな木の幹の部分が人間教育であり、その幹に野球や勉強、友人、家族、礼儀など、いろいろな枝葉がたくさん伸びている。野球だけでなく、それ以外の枝葉にもきちんと実をつけることで、初めて人として成長していけるのだ。ところが、野球が幹になってしまっている人は、バッティングやピッチング、守備、監督との関係など、野球のことばかりが枝にぶら下がっていて、他のことを大事だと思わなくなる。ただ、勝てばいい、上手くなればいいという考えで、野球以外のことを大事にしない選手は人間として成長できないし、心も育たない。ひいては野球でも成果が残せなくなる。そのことを指導者はきちんと理解して選手を導いてほしい。そして、選手自身も野球を通して人間的に成長することを第一に考えてほしい。
『考える野球』より抜粋
『考える野球』、遠藤友彦、エイチエス㈱、2007年
「遠藤友彦の熱血!野球塾」